いじめの構造

「◯ちゃんが、△ちゃんが嫌いだから無視しよう、て言うんだけど…」
小学校に入って早々だ。
早速ひねくれ女子が現れる。
月替りで誰かが気に食わなくなるらしい。
なにかしらの負を、なにかしらの劣等を嗅ぎ分け、
無視という攻撃で、周囲も巻き込もうとしている。
姑息で卑劣だ。

◯ちゃんが誰が好きでも嫌いでも勝手にしろ。
「自分はどうなの?」
△ちゃんは好きだという。
△ちゃんを無視する理由があるはずもない。
大事なことは、自分の考えを持つことだ。
他人の意見に左右されてはならない。

「そんな奴の言うことを聞くな。そう言う◯ちゃんを無視してやれ」
と言ってみるが、
「そんなことしたらかわいそうじゃん」と言う。
いじめっ子も家庭の事情などがあって、不安で仕方がないのだ。
心の隙間を埋めようと、自分の居場所を作ろうと必死なのだ。
自分のテリトリーを他人の悪口で補強する。
自分をなんとか肯定したい、
他人をなんとか否定したい。

いじめ指示には従わなくても仲良くできる。
いじめっ子にもそれなりの魅力があるようだ。
優越感というかそんな類いのものがあるのだろう。

月替りのの順番が自分にもまわってきたこともある。
悔しくて、家で一度だけ泣いた。
負けるな。いじめっ子に好物を与えてはいけない。
いじめっ子はゆがんだ顔が大好物。
苦手なものは、笑顔だ。

「無視されたら、やり返せ、倍にして返してやれ」
と言ってみるが、
「そんなことしたらおんなじじゃん」と言う。
すぐにわかってくれる、と。
自分がちょっとガマンすればいい、と。
そして気まぐれないじめっ子は、無視も面倒くさくなった。
2人とも 何事もなかったような顔をして楽しそうに話している。

「無視されたこと、謝ってもらいなよ」
「◯ちゃんが謝まれるわけないじゃん」
そうか。いじめ1クールは終わった。
まぁいい。因果応報、いじめっ子は、自分のしたことは返ってくる。絶対にだ。
一通り無視したら、案の定、いじめっ子はいじめられっ子になった。
あいつが気に食わない、こいつが気に食わないと言う奴は、
誰もが気に食わない奴なのだ。

私は自分がいじめっ子だった、と言うこともあるが、
常に直接対決だ。
姑息な真似はしない。
卑劣なやり方は大嫌いだ。
他人を巻き込むほどのリーダーシップもない。

長女は穏便にいじめに対応し、屈しない。
私の悪の囁きにも、そそのかされない。
自分の考えを持っている。
いじめっ子でもいじめられっ子でも仲良くできる。
我が子ながらあっぱれ。