虫退治

サクラの花が散る頃、
草木が芽吹き、緊張が走る季節に突入だ。

匂いで察知、フンで確定。
幸か不幸か、最近めっきり虫を見かけなくなった。
この世はどんどん住みにくくなってきたのだろう。

市販の殺虫剤は強力さに欠ける。
安全性などもあろうが、
根絶させないようななにか、
ゆるさ、やさしさ、したたかさがあるのかもしれない。

殺虫剤業界は毎年虫の慰霊祭をして、虫供養を行っているそうだ。
きっと虫たちのことを日々研究し、理解しているのだろう。
頭が下がる。

実家のサクラの巨木。
毎年虫に悩まされていた。
隣の木、その隣りの木と侵食して行き、庭中の葉という葉を食い荒らすのだ。
家の中ですら、虫に包囲され生きた心地もしない。
母はクモ以外の虫ならなんでも素手でポイポイ捕まえるが、大群となると手に負えない。
ハシゴやら噴射器を出動してもなお駆除しきれない。

そういえば駅前の公園にはあれだけサクラが咲き乱れながら、
大群どころか、一匹も見たこともない。
ある時、何台もトラックがやってきて、大々的に虫駆除をしていた。
なんとか一台まわしてくれないだろうか。
母に相談したところ、即、役所に電話。
「駐車場のお客様から虫の苦情が…」
(お客様とは私である) 
すぐに一台のトラックがやってきて、小一時間の作業。
根絶した。
毎年来ていただいた。
感謝してもしきれない。
ワイロの一つくらい渡したいくらい(無料だった)。

そして心はいつも慰霊祭を。