ティンティン

姉が、私が行きそびれている代官山の蔦屋書店に行ったと言う。
お洒落ピーピルがいっぱいで疎外感を感じた、そうだ。
姉はいつもあまり自信がない。
アンディ・ウォホールの素描集がよかったと言う。
「ティンティンがいっぱいだった」と。

インドでヒンドゥー教の寺院をめぐった。
道すがら、ガイドさんが難しい顔をして「ティンティンがティンティンが…」と何やら言っている。
人はティンティンから生まれ、ティンティンは人類の源であると。
いよいよ寺院に到着し、大きな石の前で、
「これがティンティンです!」
え、え、えー!この形って…
ティンティンてち◯ちんのことだったんだ…そっか人類の源って…

ア然としたが、参拝者はみなティンティンにひざまずき、ありがたそうな顔で真剣に拝んでいる。
友人も見ると神妙な顔ををしている。そうするしかなかった。
(友人は自分勝手な行動でガイドさんに怒られてばかりいた。)
帰りのお土産やさん。
ティンティンをモチーフにした置物やらストラップやら何やら、
おびただしい数のティンティンにめまいがし、逃げるようにあとを去る。
そしてコりもせずまた次のティンティン寺院へ。

姉が「なんでティンティンのお土産買ってきてくれなかったの!?」と言った。
姉も芸術家気質なのか、幼少の頃から妙にティンティンに興味を持っていた。
粘土で作ってつけようとしたり、
お気に入りのズボンにマッキーで書いたり。
女姉妹だったので、父のものしか見たことがなく、
毛まで生やしていた。

いつか姉とインドのティンティン寺院を巡ってもいいかと思う。