元実家へ

今まで10回ほど引っ越しをしてきたが、
一番長くいたのが、15年前まで住んでいた千葉県市川市、海よりの行徳の元実家。
諸事情により、母は転居を繰り返し、家は増え、元実家は賃貸物件となった。
元実家は借主が退去し、
空家でリフォーム中の隙に見学に行く。
姉と妹と子ども達と。
故郷だの哀愁だのを知らない私達。
借主は家賃滞納で立ち退いたとかで、荒れ果てていた。
現実はそんなもんだ。

行徳も約10年ぶりで、Googleぐるなびやらネットで予習。
昔行っていたイタリアン「ブオーノ」は6年前に閉店、
昔父がよくケーキを買ってきた「カプリス」は行徳一おいしくなっているらしい。
昨日は夢でカプリスのケーキを食べていた。
場所が移転したので夢かなわず。

元栄光ゼミナールだったイタリアンへ向かう。
駅から降りると、ドン・キホーテがあって驚く。
ポニーはあったが、
ユニマートもマルエツになって、
主婦の店もテスコに。
街は変遷していた。
面白くなって、元実家まで歩くことにした。
私達が昔遊んだ駅前公園で遊ぶ子ども達。
噴水に駆け寄り靴下も脱いだが、
噴水で遊ぶのはまたいつか。

殺人事件のあったマンション前も通りすぎる。
容疑者の親戚と同級生だった。
友達が「一緒に習字習ってた」と言って思い出した。
その子の顔ではなく、廊下に貼られていた綺麗な習字の字を。

中学校にも行ってみる。
ヤンキー風なお兄さん達も来ていたが、
きっとかわいい後輩だ。

中学校の校長先生は3年間毎週朝礼で同じ話をした。
「当たり前のことができる、当たり前の生徒に」と。
最近その言葉を急に思い出し、
いまさらながら心に響く。

学校の前は姉の同級生が立派な3階建の二世帯住宅を建てていた。
フルネームの表札。
姉も私もフルネームで覚えていた。

元実家には、孫に会いたくなったか、母も来ていた。
スーチーさんみたいだった母は今日は変な帽子をかぶっていた。
たぶんハチの巣での作業用か、
母がすると、まるで中東のベールを被った女性のよう。
全く違和感もなく似合いすぎている。
「大きくなったらこんな帽子被りたい?」
「うん!」と次女が言う。

京成バスと東西線で帰宅。
京成バスは整理券方式で値段も変わるが、パスモも使え、
シートも京王バスとお揃いだ。

次に行くのはいつだろうか。
イタリアンも美味しかった。
知っているはずの知らない街は楽しかった。
家は汚れていてがっかりしたけど、
リフォームが完成したらまた行ってもいい。