ダメ人間

こないはずの母が来た。
(こないはずだったので、姉も妹も来た。)
連絡がなかった。
昨日私は携帯を忘れて出かけたが、母は携帯を失くしていた。
似たもの親子だ。
母は、いままで10数台くらいは失くしているだろうし、
物忘れや落し物の類は尋常ではない。
私が自分の忘れ物や落し物に激しい自己嫌悪に陥るのは、母を思うからだ。
母は「前頭葉」に問題があるのだ、とまるで特殊な脳を持っているかのように言い、
全く反省などしない。
部屋を片付けることもしない(常にお手伝いさんがいる)。
昔「美的に散らかす部屋づくり」という特集の雑誌など見ていたのを覚えているが、
美的に散らかすなんてことはありえない。
美的に散らかすように見せる整理術の難しさ。

ダメ人間である、と思わなくてはいけないのに、
大天才だと勘違いしているようなのだ。
もう修正も訂正も不可能だろう。
キチンとすること、常識であることを嫌悪する。
非常識や狂気といったものが、芸術を生むのだから仕方ない。
私も母と争うことは諦めた。
母は好きなように生きるしかない。

元来、私はダメ人間である、
キチンとしなければあのようになってしまうという恐怖から、
私の整理整頓、掃除に対するほとんど強迫観念にも似た情熱が生まれたと言っていい。