か〜て〜て〜

以前母が泊まりで来た時、朝一緒に保育園へ行った。
遅くなってしまい、母はソワソワして 「仲間はずれにならないかしら?!」
などと孫の心配をしだした。
「大丈夫」
孫はいつものように、みんなのところへ走っていき、
「い〜れ〜て〜」となんのためらいもなく輪の中に入る。
母は驚愕した。
「あぁ!!そういえばよかったのね!」と感嘆し、
「私はその一言が言えなかったのよ、
い〜れ〜てって、か〜て〜て〜(九州弁)って言えばよかったんだわ」
と60年来の記憶がよみがえったようだ。

今更後悔しても遅い。
昔からひねくれ者だったのだ。
運動会でも逆走したそうだ。
ずっと素直になれなかった。
一匹狼のふりをしていたが、
本当はみんなと一緒に輪の中に入りたかったのだ。

そして今なお「か〜て〜て〜」が言えないのだ。