両思い

不思議な関係だと言われるので、
基本的に両思いだと言っておく。

彼女はピンクの大きな帽子を被ってきた。
最近家の近くのサミッットにできた100均で買ったそうだ。
そういえば先日お風呂でも皆100均の話で持ちきりだった。

腹一杯なのにアフタヌーンティルームでアップルパイとミルクティ。

生い立ちから今までの話やらあれやこれや。
身振り手振りで饒舌、情熱的で私が聞き役になるほど。
返しがありえない方向から来ることもある。
でもよく聞けばちゃんとストーリーはある。

彼女は自分の障害も認めながら、
仕事仲間の障害を心配して研究書などで勉強しているのだ。
チェック項目が全部当てはまる、と。
悪口は決して言わない。
何度も罵倒され殴られもしているのに。
「何それ、頭くるね。病的だよ、重症だね」
「誰だって何かしらあるんだよ、でも人に迷惑かけちゃだめだよね」
私がそう言うのを待っているのかのようだ。
私の悪口を。
悪口は新鮮なようで、彼女はとても嬉しそうだった。

極貧で振込め詐欺妄想もしていたが、
支払いはカードで。

「ごちそうさまでした」とのメールと、昔の写真が。
幼稚園を留年したけれど、入学が1年遅れたお陰で、小学校の創立記念式典に参加できた、と記念写真。
そのはにかんだ笑顔の美しさに目が眩みそうになる。
遅れてよかったね。
そうそう、慌てずゆっくり自分のペースで。