雪の日

仙川の湯で雪見風呂、というより、
雪風呂だった。
冷凍ミストのようでこれはこれでいいお湯、夢気分?
平和かなぁ…と思う。

金曜日、新入社員歓迎会。
浮ついたまま家に帰ると、お財布がなかった。

会社に置き忘れた可能性が高いが、電話は不通。
新宿にいる二次会メンバーもカラオケで不通。

また明日会社で確認して…では済まされなかった。
タクシー乱用問題により、夫のカード類まで持ちすぎていたのだ。
翌日は土曜日で、しかも大雪予報だ。
金曜夜の新宿が安全だとは思えない。
お店の外国人すら疑う、私は最低だ。

お店、電車、駅、と手当たり次第に連絡。
みなとても親切だった。
お財布の色は…金色でも嘲笑うこともない。
カード類はやはり念のため停止したほうがいいとのこと。

お昼はATRで財布を出した。
以前、同じ場所で財布を落としたこともあった。
上階の爽やかマイクロソフト社員?が教えてくれた。

物の持ち方が無造作すぎる。
注意力も散漫だ。
どん底気分で、夫の運転で夜の新宿へ向かう。

大雪予報でも眠らない街だが、
会社は寝静まっており、警備員も不在。
セキュリティトラブルを恐れて侵入は諦め、
最寄りの交番で遺失物届け。
ちょうど届けられていた他人のお財布を恨めしそうに見る。

帰宅して、カード類を停止。
夫も巻き添えだが、やたら堂々と連絡する。
深夜だろうが雪だろうがオリンピックだろうが、
みな当たり前のように仕事をし、懇切丁寧な対応に心が救われた。

翌朝、酔いの覚めた同僚から連絡も受け、
警備員とも連絡をとり、改めて会社へ向かう。

予報どおりの大雪の中、
夫は車をわざと滑らせたりしながら、大はしゃぎで運転だ。
巻き添えにしてしまったので黙っていたが、
いったいどういう神経をしているのだろう。

金色の財布は何事もないように机の中にひっそりと佇んでいた。
それから手当たり次第のお詫びとお礼連絡、そしてまた車を滑らせながら帰宅。

カード類の手続きが面倒なことになった。
これは罰だ。

人々の優しさがありがたく、
我が身の愚かさに呆れた。

冷凍ミストの雪が時折顔に痛い。