立場

私も夢を描けなかった。
スパイ、作家、芸人、などと薦められたことはあったが、
どれも非現実的だった。

父は、自分の仕事(会計士)を、私に押し付けたがっていたが、
私は、父の言う血の滲むような努力はしたくなく、
死の2日前まで仕事に明け暮れるほどの仕事愛もわからなかった。

仕事ぶりを職人気質と言われることが多い。
褒められていると思っていたら、
そうでもないようだ。

前向きでも上向きでもない。
上昇志向が苦手。
そこに劣等感があるように思う。

私と思考が似た、
散歩仲間の友人が、高評価された。嬉しくてしょうがない。

カラッポのくせに(カラッポだから?)アピールばかりの人が多い社会。
アピールしなくても、見返りを求めなくても、地道にコツコツとやっている人は評価された。

社長たち→社員たち→アルバイトたちというようなカースト制があるとすれば、
無職→パートタイム→フルタイムという、ほぼ真逆のカースト制が母たちにはあるかもしれない。

いろいろな観点があるものだ。
いずれにせよどちらでもいい。

私は表舞台には出ず、裏番とか、影の実力者、とか言われてほくそ笑んでいる。

などと思っていたら、
「立場が人を成長させる」という言葉を校長先生から聞いた。

社長は社長だからエライのではなく、社長という立場が、社長に相応しいを人になろうと努力させる。
そして、自分には無理だと思うことも、頼まれたらやってみる、できれば自分から立候補してみる。
その立場で頑張ることで成長するのだと。

青少年たちはうなずく。
思えば、学校行事も、生徒全員がそれぞれの実行委員となって作りあげてきた。
子供たちは任せられ、責任を持って取り組み、その経験から、担当外の行事も協力できるようになる。

校長先生は、真っ当な教育者だった。
子ども達は毎日のように校長室に出入りし、二女は担任の先生の悪口もチクるような仲らしい。

上昇志向は劣等感の表れだとヒネくれたことを言わず、
校長先生の言葉も心に留める。

観点は広く。

二女の1日

悪口ノートを書きすぎている。