犯人

小学校からメール。
近所の郵便局に強盗が入り、
犯人は逃走中とのこと。

長女を迎えに行かなくてはならない。
仕事も投げ出すわけにはいかない。
逃亡中のさなかに向かわないほうがいいだろう。
よって通常どおり仕事を終えて退社。

遭遇することもあるだろうか。

いままで二回、見知らぬ男性から「犯人だよ」と言われたことがある。
一度めは通り魔事件のあった日。
二度めは電車の中で、髪をさわってきた人に。
とっさに私は何も言ってはいけない、と思った。
聞いてるか聞いてないかわからないような顔をして、
平静でいなくてはならないと。

犯罪には到底私などが介入できない事情があるのだ。
しかし犯人は誰かに自分が犯人であると言いたいのだろう。

遭遇はしなかった。
世の中にはもっと恐ろしい事件がおきており、
ニュースにもなっていない。
明日もみなビクビクして通学するのだろう。

平静でいなくてはならない。