幽霊?

かなり前になるが、
私は妹を迎えに南行徳駅で待っていた。
誰かがじっと見ている。
見知らぬおばあさんが近づいてきた。
「あなたうちの娘に本当によく似ている」
見ると小さな風呂敷包を持っていて、
「ちょうど背格好も同じくらいだと思うし、この服着てくれないかしら」と差し出すではないか。
「あぁ、うちに服がいっぱいあるんで、大丈夫ですよ。」
「ピッタリだと思うんだけどね〜」
残念そうに言って、おばあさんは夕闇に消えていった。
妹が改札から出てきたので、
その話をすると、「その人、幽霊じゃない?!」
などと言っている。
生きていたはずだが、
言われて見ると、線も細く、全体的にグレーがかっていた印象だ。
生きていたとしても、娘さんが亡くなっていたのか。

今もどこかで風呂敷を持って探しているのかもしれない。