祖母

明日は祖母の一周忌で鴨川へ。
祖母は90を超え天寿をまっとうした。

私が小学2年の時、
夏休みに姉と2人で九州の祖父母の家で過ごした。
毎日のようにお出かけ、
あまりにも楽しい日々で、
家に戻ったら、毎日がつまらなくなった。
おばあちゃんが死んだらどうしようと考えて泣いた。
その後30年もたって亡くなるとは思いもしなかった。

30年の間、祖父母にもめまぐるしい変化があった。
家に滝もあるような豪邸に暮らしていたが、破産。
祖父70代、祖母60代で離婚。
あとで聞いたら熟年離婚が流行ってたから、
などと言っていたが、本気のミーハーでもあった。

その他諸々のゴタゴタで、祖父母は九州から逃亡し、私達とも再会したが、
予想に反して、2人ともやたら派手でご機嫌で、終始笑い転げていた。
祖母は朝から昼まで化粧をし、
朝から晩までしゃべり倒した。
母の悪口も多かったが、みな腹をかかえて笑った。
いつのまに祖父母は復縁。
千葉の鴨川に移り住む。

時々ギンザで買い物したい、と上京し、いつも「最後の買い物になるかもしれない」と言って、
倒れそうにまるまで買い物した。
資生堂のTHE GINZAを「一番冴えてる」と言っていた。

70代までは若々しかったが、
80代からは老化に立ち向かうことが難しくなった。
温泉も一緒に入ってくれず、
「死体のような体だから」と言って絶対に服を脱がなかった。

老化とともに祖母の話は愚痴めいた。
亡くなる直前、すっかり毒が抜けたように見えたが、
母の悪口を言うと笑った。
まだ大丈夫かな、と思ったのだが、
その後、帰らぬ人となった。