入学式

父は太っていて、母 は「カバ」と呼んでいた。
怒ると「カバのバカ!」(回文?)と言っていた。
初めて会った時、父は肌色のセーターを着ており、本物の豚と見間違えるほどだったそうだ。
肌色をブタ色と言う母。
一瞬のデブ専のケの迷いで結婚に至ったようだ。

小学校入学式。
幼稚園に行っていなかったので、私は少し緊張していた。
隣の席の男の子を見ると、とても太っていて目もすごく大きかった。
少しガッカリする。
近所のオサム君が後ろから肩をたたいてくれて、とても安心したのだけど、
振り返ったその先に母のギラギラした目が見えた。
…どうしたんだろう?

家に帰ると、(入学式なのに)先に帰ってしまった母が、目をもっとギラギラさせて騒いでいた。
「隣の男の子がハンサムで!目がパッチリしてて!!」

母のデブ専のケを初めて知った日だった。