横断歩道の真ん中で

昔、友人にタバコを勧められて吸おうとした。
新宿で靖国通りを渡っていた。
ペチャクチャしゃべりながら。
信号が赤になり、横断歩道の真ん中で立ち往生。
人々や車が行き交う様は壮観で、しばらく見ていたくなった。
友人と座り、またしゃべり続けた。
友人はタバコを吸い始め、私にもタバコをすすめた。
が、吸おうとしてもうまくいかなかった。
こんな歌舞伎町の道の真ん中で、
私たちはいったい何をやっているのだろう。
ふと、おかしくなってきて笑いがとまらなくなった。
笑いすぎたせいかもしれない。
吸う力が足りない、ということだった。

いつもしゃべってばかりいた。
口さびしくなることはなかった。