民生委員

義母は民生委員で孤独な老人とも接し、
結婚の世話も必要だと思い始めた。
ボランティアで人のために働く。
あの行動力、あのリーダーシップ、あの人望、全くもって頭があがらない。

民生委員も単なるお人よしではない。昔の恨みだって晴らす。
30年前、小学生のK君(夫)の友達はみな野球チームに入った。
野球にまるで興味がないK君も遊び相手がいなくなり、しかたなく一緒のチームに入る。
コーチに入会動機を聞かれ、K君は正直に答えた。
「友達がいるからです」
「そんな気持ちでいるやつはここから出て行け!」
1日でクビになった。

30年後、老いたコーチは民生委員に助けを求める。
「あなたは助けません」と義母。
「私は忘れていません」と。
「あなたは、子どもの心に傷を残したのです、そんな人は助けません」
老コーチはひれ伏して謝った。
「私はそんなひどいことをしていたのか、申し訳なかった、許してください」

・・・そうして誰もが頭があがらなくなっていくのだ。

(K君に確認したところ、全く記憶がないそうだ。かすり傷さえ負っていなかった。)