オカマちゃんとオナベさん

どん底の人が、母から派遣されてきたこともある。
おたふく風邪になった長女を一週間見てくれた。
(当時の私は一日の休みも許さずヤケクソで働いていた)

彼は、男か女かよくわからない風貌でやって来た。
知合いのオナベさんの恋人でオカマちゃんだった。
2人の生い立ちも、壮絶だった。なるべくして性を逸脱してしまったようだ。
彼らは、病んでいていたが、子ども好きだった。

長女はオカマちゃんとうまくやっていたが、
トイレを我慢していた。
「恥ずかしかったのかしら?!」
と母は言う。
「お兄ちゃんじゃないのよ。
お兄ちゃんお姉ちゃんなのよ!」
「そっかー!」
納得して次の日からはもっと打ち解けてトイレもOK。
オカマちゃんは一度取り乱し、
会社に電話がかかってきた時は女だった。
毎日オカマちゃんをオナベさんが迎えに来た。

結婚も出来るし、子どもだって出来るかもしれない。
でも「それは絶対にできない」とのことだ。
オカマとオナベのカップルは深過ぎて、難解すぎた。

オカマちゃんも本当の男が好きなのか、夫を追いかけたりして、
オナベさんは気が気じゃないようだった。

いつも心配していていつも愛を感じた。