メル友

「メリークリスマス」とか、
「お疲れした」とかメールがくる。
やっとメールができた。
一生懸命入力しているのだろう。
年齢は大人だが、数も10まで数えるのがやっとなのだ。
「届いたよ、すごいすごい!」と返信、感動。

数年前、「一番簡単なのください」と言って携帯電話を買い、
メールアドレスなど「そういうのはない」と言っていた。
最近迷惑メールがきて、メールもできるとわかったが、「返信はできない」とのことだったけど、
返信できた。写真だって届いた。
目が飛び出しそうなほど見入っていた。
たぶん「一番簡単なの」より、iPhoneのほうがわかりやすい。

「練習用でもメールしていいからね、
言いたいこともメールしていいからね」
彼女に暴言を吐く人がいるのだ。
同じ枠での入社だが、私は暴言女は嫌いだ。
悪口を言ってやると「フォッフォフォッ!」と笑っていた。
いずれは腹黒メールでもやりとりしたいものだ。

そっくりなキャラクターがいる。
制作会社が会社の隣なので、
モデルになったんだろうと勝手に思っている。

初めて見た時、絵本の中から飛び出して来たのかと思った。
森の中に住む、心の優しい大きな怪獣、
或いは、昔、英語の教材で読んだ話も思いおこさせる。
頭の弱く醜い女に溺れて行く男の話。

私はその男ではないが、
彼女はなんだか愛おしく、抱きしめたくなるのだ。
あまりにもすべてのことが出来なさすぎる。
努力なんてほとんど通用しない。
努力してメールができるようになったことこそ、
タブーへの挑戦かもしれない。

またメールが来た。