お墓参り

夫が突如として、お墓参りに行こうと言う。
夢にお墓からの風景(絶景)が出てきたそうだ。
父のお墓だが、夫は父に会ったことはない。
それでもお墓参りはせっせと行く。
ご先祖様を大事にするように教えられてきたらしい。
ご先祖様の祟りなどを怖れているのではない。
私が怖れているのは生きている母。
生きている人間が一番恐ろしい。
今回も会うことは見送った。

母のひどすぎる醜聞?を聞いたこともあるが、
とりわけ震撼させられたことは、姉宛の封書から「ア●ムシが大慌てで出てきた」と言うことだ。
そのような事実は到底受け入れ難い。

母の悪口は姉妹間でしか話さない(話せない)が、
夫も深くは踏み込まない。
子ども2人、視力再検査で時間が押したことを口実に、母宅を素通り。

もともと実家は市川で房総の家は別荘だった。
房総は山方面に別荘地が広がっており、海側には豪邸がチラホラ。
東京から金持ちがやって来てた、
海辺にボートなんか置いて津波が来たら逃げるのか、
だのなんだの地元民はあぁでもないこぅでもないと噂をしているらしい。
母もすっかり地元民。
そして山奥にこもって、ますますおかしくなった。
何か常に妄念に取り憑かれている。

父(お墓)に「母をなんとかして」と声に出して言う。
父だってどうしようもないだろう、と思っていると、
二女も声に出して、なんと
「おじいちゃん、死なないでください」
なんて祈っている。
「もうとっくに死んじゃったよ…」と言うと、
「死んでない、この石の中でずっと生きているんだよ」と。
「おじいちゃん、もうワガママ言いません、みんなと反対のこと言ったり、違うこと言ったりしません。」
ここぞとばかりに誓わせる。

ご本尊のお寺にも行ってみる。
立派なお寺。

昔、飼っていた虎が逃げ出して有名になったお寺。
お墓を建てる時、住職さんと話した。
「商売にならないから改宗した」など豪快?なお話をされていた。
その後、墓石を巡って提携する石屋と大げんかになったものの、
母の選んだ風変わりな墓石に、みな満足している。

備え付けの願い事ノートに二女は「アイドルになりたい」と記入…。