海へ(砂)

トンネルは砂の中、地下は砂の下、地上は砂の上、と二女は言う。
言われてみれば、そうだ。
この世の中は砂で出来ていると言ってもいい。
とりわけ自然界に出てみると。


砂だらけの海。
毎年後悔するが、毎年海へ行く。
周囲のはしゃぎように乗せられ、自然に立ち向かう決心をする。

海に少しだけ浸かった程度で、
水着は信じられないほど砂が入りこむ。
何度洗っても砂が出てくる。
鼻や耳にまで入りこむ。
保冷バッグやペットボトルやら、そこかしこに砂は入りこむ。

たった一粒の砂さえ、躍起になって取り除こうとするが、
ふと見渡すと、この世は砂という砂で埋めつくされているのだ。