チョイチョイ

高校生の時、友だちと3人で通学していた。
電車の乗換え時、毎日私たちのお尻を、
触るか触らないかわからない程度にチョイチョイしようとするおじさんがいた。

車両を変える、時間を変える、そして注意する、怒鳴る。
などいろいろ試みたが、
おじさんは何も言わず、顔色一つ変えず、
同じ時間に合わせ、
同じ車両にやってくる。

私たちは、いかにしておじさんを避けるかに全力を注ぎ、
3年生の頃には、かわす技も上達してきてほとんど避けることができたが、
気を抜いていると、チョイチョイ。
(おじさんの早技もかなりのものだった)

チョイチョイなので、
駅員さんや警察を呼ぶのは大袈裟な気がした。

それに、おじさんには指が何本かなかった。
指を失うほどのことがあって、
ちょっとやそっと注意されたくらいでは全く動じないのだ。

残された指の使命だったのか、
チョイチョイしなければならない、ヤンゴトナイ事情があったのかもしれない。