変な家

母は変な家を建てようとしているらしい。
語気を荒げて話していた相手は不動産屋か。

結婚式に無理に来て険しい顔で怪気炎あげるくらいなら来なくていい。
でも、涼しげな顔でシレーっと来るんじゃないの。
姉の言うとおりだった。

母はさんざん「〜じゃないと行かない、〜しないと行かない」と言って妹を振り回していた。
知人の舞踏家が踊りを披露しないと行かない、
しかし彼は公演と重なって来れなくなり、母はますますヒネくれていた。
私も久しぶりに踊りを見たかったので少し残念だ。

そんなことを思っていたら、
以前の彼の舞踏仲間の岡さんが、三田のガウディとしてタモリ倶楽部に出ていて驚く。

15年くらい前に会った時、彼は白塗りで踊っていて、
一級建築士なのに、川べりに作った家を小学生に壊された、などと言って笑っていたのだ。
私はロンドンで見つけた変な帽子を、彼にあげたこともあった。

変な家を建ている岡さん。
いつも穏やかで、きっと敵がいないのだろう。
そういえば母の「家ではないもの」と言うコンテナハウスも、
舞踏家が作ったようなことを言っていた。
舞踏と家作り…
母に「変な家が出来るといいね!」と言っておいた。


和やかなる両家の顔合わせ