船橋

船橋から引っ越して来たの」
そう無邪気に言う幼い子のお母さんは、
千歳船橋、と訂正した。
ちゃんと言わないともう一つの船橋と間違われる、と。

千歳船橋はすぐ隣町の閑静な住宅街で、
特に何があるわけでもないが、素敵なカフェや美味しいクロワッサンの店もあり、
近年は無印良品もできた。

もう一つの船橋は、言わずと知れた千葉県の船橋市で、
今やゆるキャラなどでも知名度を上げている。

船橋へ、幼少の頃、毎週のように行っていた。
西武と東武をハシゴ。
私たちがおもちゃ売場であそんでいる間に、母はリバティショップへ行ったり、
「女の小部屋」という雑貨店にもよく行った。

東武の窓から「イトーヨーカドー」が見えた。
まっ白な大きな建物で人がどんどん吸い込まれていく。
同じクラスの伊藤君は声が低く「低音の魅力」などと先生に言われていたが、
イトーヨーカドー、とも呼ばれていた。
私はイトーヨーカドーとはいったいどんなところなのか不思議でしょうがなかったし、
一度でいいから行ってみたかった。
母は無視した。
建物すら見ないようにしているようだった。
スーパーらしいと聞いたが、あんなに大きいスーパーは見たこともなく、
何か別なところであって、見たこともないような知らない世界が広がっているのかもしれない、
東武の窓からながめながら、そう思っていた。

今、子ども達は「ふなっしー」に興味があると言う。
あまり詳しくはないが、ふなっしーのメンタルは強そうだ。

私はキャラクターは苦手だ。
子どものためにツバメノート×リラックマを買ったりしているが、
精一杯の努力だ。

これが限界だ。

週末、「ゆるキャラサミット」に行く羽目になっている。