仕事中にメールあり。
ヤンゴトナキ内容に思わず慌ててトイレへ駆け込む。
同級生のお母さんの訃報、
すぐ上の部屋の美人ママではないか。
めまいがした。
頭がクラクラして、立っていられない。
それともこれは地震か?
倒れそうになり、フラフラと個室を飛び出す。
席に戻って、落ち着こう。

その後、本当の地震がきたが、
まためまいだ、と勘違い。

のこされた男の子たち、お父さん、いったいどうしたらいいのだろう。
頭がずっとグルグル廻っている。

綺麗なご夫婦だった。
お父さんは8月の猛暑でもジャケットを着て仕事に出かけていた。
「上衣(ジャケット)を着ないのは、ハダカと一緒!」
と昔、紳士服研修を受けた。
夏はハダカの男ばかり。

柴崎に行った日、家を出てエレベーターに乗ろうとすると、
エレベーター内の中扉が空けられ、緊急搬送中、と書いてあった。
救急車でも来てるかな、と下りると、
棺が運ばれてきたところだった。
棺はなんて白いのだろう。

棺は棺だけか、亡くなった人が入っていたのか、父の時はどうだったか思い出していた。

病院の車で一緒に帰った。
父は私のすぐ後ろで寝かされ、
まるで生きているかのようで、今にも目を覚ましそうだった。
家に帰ると午前を回っていたが、ほどなくして葬儀屋さんがやってきて、
驚くほど手際よく葬儀の段取りを決めていった。
呆然としている私たちの前で、
「全部お任せください、遺影の写真だけ選んでおいてください」
という言葉に、私たちはやっと現実に気付いたような気がする。

遺影に選んだ1枚は、白いシャツ姿。
上衣着ていない姿、珍しいですね、初めて見ました、
そんな声を多く聞いた。
父は家ではほぼ全裸だったが、
仕事着は上衣を欠かさず、
真夏でもハダカはありえなかったのだ。

白いシャツ、白い棺、思い出すとまたクラクラする。