会社員

二女のダンスパンフレットのコメント欄に、将来の夢を書くと言う。
夢…
数年前まで、他の子たちと一緒になって「アイドルになりたい」と言っていたような気がする。
今はダンサーだろうか?
バイブス※あがっているだろうか?

※二女は、ダンス用語と知っていても、バイブスあがるという意味は、
「100点とった、みたいなかんじ」と言っていた。
以降、私は「バイブスあがった?100点とった?!」と乱用している。

二女の夢は、
「アタシ、ヤセてるから太りたい」とのこと。
アイドルはどこへ行った。
マツコ・デラックスに憧れているのは本気のようだ。
「ポチャカワ女子」と書いて提出。

翌日、
「説明不足ですみません」と書き直しをお願いされる。
説明不足ではない。
ダンススタッフの方たちは大変人間が出来ているのだ。
ダンスも、ありとあらゆる子たちを、
あの手この手で、上達させてくれる。
ファンキーなダンサー先生も、一度も怒らない。
指導の技術が高く、怒る必要がないのだ。
怒らない=出来た人間、とあらためて思い知った。
そんな出来た方たちに、
「ポチャカワ女子」が夢だなんてふざけたこと書いてしまった。

あらためて、二女に聞き取り調査するが、
夢を描くことは相当難しくなっていた。
アイドルになりたい、と言っていた女子たちは、
小学校に入り、だんだん世界が広がるにつれ、
自分よりももっと可愛い子がいることを知り、アイドルなどとは言わなくなる。
よっぽど世間知らずでもない限り。
夢を見なくなる頃、
夢を聞かれても困るのだ。
親も、現実的な職業を子どもに教え始めなければならないようだ。

二女は、ダンスは1番だと思っていたら、
自分よりもっと上手い子がいることを知る。
人気スクールになると、
キッズダンサーのレベルもかなりハイレベル。
その子たちだって将来ダンサーになったとして、安定収入が得られるかどうかなんの保障もない。

悩める二女に、大人になったら、家にいたいか、家を出てどこに行きたいか、どんな服を来たいか、何をしたいか、と順序だてて質問してみたりする。

二女は言った。
コンビニでアルバイト…じゃなくって、会社行きたい。
パソコンで字を書きたい、最後のボタンを押したい。
会社人がいい。
会社人!!

「お笑い芸人」をよく薦められると言う二女らしからぬ答えに、驚かされる。

「会社員」と書いて提出しました。

ベトナムの赤ちゃん用パンツもぴったりフィット。